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16- D- 0119
201 6 年 5 月 2 5 日
自動車メ
ー
カ
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大手各社の 16/ 3 期決算の
注目点
自 動 車 メ ー カ ー 大 手 各 社 の 16/ 3 期 決 算 お よ び 17/ 3 期 業 績 予 想 を 踏 ま え 、 株 式 会 社 日 本 格 付 研 究 所 (J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。
1. 業界動向
日系自動車メーカー8 社(上場 10 社のうち、トヨタ自動車の連結対象であるダイハツ工業、日野自動車 を除く)の 15年度のグローバル新車販売台数は前年度比 1. 2%増の 25, 949 千台となった。米国市場は好調 であったが、国内需要の低迷と新興国・資源国の景気減速が重荷になった。日産自動車の 15 年度決算報告 資料によると、グローバル新車需要の伸び率は 15 年度実績+2. 1%、16 年度予想+2. 6%、主要市場では日 本 が 同 様 に ▲ 6.8% 、 + 1.9% 、 米 国 が + 5.2% 、 + 1.1% 、 欧 州 ( ロ シ ア 含 む ) + 3. 5% 、 + 2.2% 、 中 国 が + 6. 0%、+4. 0%となっている(中国のみ暦年ベース)。
国内では消費税増税や軽自動車税引き上げなどの影響が続き需要が低迷している。米国市場は 15年に 14 年ぶりの 1, 700 万台超えとなり、当面は堅調な推移が見込まれるが、これまでの景気回復局面が踊り場に差 し掛かっている懸念も残る。13 年度にプラス成長に転じた欧州市場では、西欧は堅調さを維持しているもの の、ロシアは原油安・現地通貨安で低迷している。中国市場では15 年 10 月に始まった小型乗用車に対する 減税措置の押し上げ効果が出ているが、需要の先食いや供給過剰に伴う値引き競争など懸念が残る。日本車 のシェアが 8割を占める東南アジアでは域内主要市場であるタイやインドネシアでの需要低迷が長引く中、 競合が激化している。
生産ベースでみると、15 年度国内生産台数は前年比4. 1%減(乗用車 8 社)で、2 年連続の前年割れとな った。輸出台数は同 2. 9%増となったものの新車販売台数の減少が影響した。海外生産台数は同4. 5%増で過 去最高となり、海外生産比率も 67.3%まで上昇した。12 年末以降、円高修正が進み国内工場の競争力が回復 したことで、一部のメーカーでは海外増産分について国内生産能力の活用などの動きはあるものの、海外現 地生産は着実に拡大している。
2. 決算動向
16/ 3 期は上場 10 社中7社が営業増益で、3 社が過去最高を更新した。上記 8 社合計の売上高は前期比 7. 7%増、営業利益は同 6. 7%増の 5 兆 4, 484 億円となった。利益額はリーマンショック前のピーク 08/ 3 期を 16%上回る水準であり、売上高営業利益率は15/ 3 期と同じ7. 9%を維持した。日本や新興国・資源国の伸び 悩みを、北米市場の好調とコスト削減で補い、鋼材価格の下落も追い風になった。北米セグメントの利益額 は販売好調を背景に増加しており、ガソリン価格の下落で多目的スポーツ車(SUV )やピックアップトラッ クなど利幅の厚い大型車の販売が伸びて収益性が高まっている。営業利益増減要因を大手 3社(トヨタ自動 車 、 ホ ン ダ 、 日 産 自 動 車)で み る と 、 主 な 増 益 要 因は「 台 数 ・ 車 種 構 成 」 2, 134 億 円 、「 コ ス ト 削 減 効 果 」 (原価改善、原材料価格変動、固定費増減など)7, 234 億円であった。減益要因の「諸経費増ほか」8, 834 億 円には、タカタのエアバッグインフレータ関連の品質関連費用が含まれており、ホンダの場合では約 4, 360 億円を計上し利益を圧迫した。
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替変動の影響」は 866 億円の増益要因となった。17/ 3 期では対米ドルでも円高が進行し、「為替変動の影 響」の減益影響が拡大する。各社の対ドル想定レートは 105 円に集中しており(前期比約 15 円の円高)、 「為替変動の影響」はトヨタの場合で 9, 350 億円の減益要因(対米ドルで 6, 300 億円の減益要因)になる。
財務面については、15/ 3 期までは業績改善で純資産は増加傾向にあったが、16/ 3 期は 16 年年初からの 円高・ドル安の進行による為替換算調整勘定の目減りや自己株式取得などで純資産が減少した企業もある。 販売金融を除いた自動車事業におけるネットキャッシュ金額(手元流動性と有利子負債の差、トヨタ自動車 は総資金量ベース)については大手 3 社合計で約 10. 6 兆円まで増加した(08/ 3 期約 4. 5 兆円)。設備投資は リーマンショック直後に半減した後は増加傾向が続いている。16/ 3 期は前期比 4. 3%増で、ピーク 08/ 3 期と 同水準の 3 兆円強に戻った。17/ 3 期は前期比3.7%増の計画であり、事業環境が厳しくなる中でも将来に向 け た 投 資 を 続 け て い く 方 針 の メ ー カ ー が 多 い 。 ト ヨ タ で は 商 品 力 ・ 開 発 効 率 向 上 に 向 け た 「 T oyota New Global A rchitecture」(T NGA )のための投資も設備投資水準を押し上げるとみられる。
3. 決算に
お
け
る
格付上の
注目点
日系自動車メーカーのグローバル新車販売台数は 16 年度で前年度比 3.0%増の見通しであるが(17/ 3 期 業 績 予想 を発 表し てい ない三 菱 自動 車を 除く)、売 上高営 業 利益 率は 厳し い収 益環境 を 反映 して 、16/ 3 期 7. 9%から 17/ 3 期 6. 2%に低下する見通しである。円高進行の影響が大きく、「為替変動の影響」を除くと大 手 3 社では 3, 524 億円の増益となる。
近年、海外生産シフトが進み、大手メーカーの海外生産比率は先述のように7 割近くまで上昇した。しか し依然、国内生産の約 5割は輸出向けであり、為替の影響を受けやすい体質のメーカーが多い。輸出採算の 悪化だけでなく、新興国通貨安に対応するための値上げによる販売台数へのマイナス影響も懸念され、難し い舵取りが求められよう。各生産拠点のコスト競争力や現地の需要動向、関税の状況などを勘案し、また自 社工場と合弁事業を使い分けるなどして、為替動向や需要変動に柔軟に対応できるようなフレキシブルなグ ローバル生産体制を構築することが重要と考える。
商品力・開発効率の向上、コスト低減を目指し、車台・部品の共通化などの施策を進めているメーカーが 多い。トヨタ自動車では、15 年 12 月に発売した新型プリウスが T NGA の第1弾であり、20 年頃にはグロー バル販売の半分が T NGA モデルとなる見通しである。日産自動車は、13 年度から新世代車両設計技術「コ モン・モジュール・ファミリー(C MF )」を導入し車台・部品の共通化を進めており、20 年までに段階的に ルノーと当社の車種への適用を拡大していく予定である。これらの施策がブランド力、コスト競争力の強化 などを通して利益率改善にどのように貢献していくかに注目している。
一方、モジュール化や部品共通化の進捗を背景に、1 つの部品の不具合による影響が大きくなり、大規模 リコールになる事例が増えている。タカタのエアバッグインフレータの問題では自動車メーカーが実施して いる調査リコールの対象台数が大幅に増加した。また独フォルクスワーゲン社のディーゼルエンジン車の排 ガス不正問題や三菱自動車の燃費性能試験での不正問題を受け、当局による新型車や使用過程車の検査基準 など規制が厳しくなる可能性もある。社内でのリスク管理体制の強化や、部品メーカーとの連携強化により、 品質管理を徹底する必要がある。
環境技術や自動運転技術など開発面での競争が激化しており、自動車メーカーの研究開発費、設備投資は 増加傾向にある。これらの技術では日系メーカーは先行している部分が多いが、単独で全方位の開発ができ るメーカーは限られており、開発費や人的資源の分担を目指して、提携の事例が相次いでいる。部分的提携 も含め、必要な技術を効率よく充足させ、魅力あるクルマづくりができるかが重要である。また開発面での 競争が激化する中でいかに財務体質を維持・強化していけるかに注目している。
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http://www.jcr.co.jp (図表 1)上場自動車メーカー10 社の連結営業利益、利益率の推移
-2.0% -1.0% 0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 8.0% 9.0%
(1.0)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
08/ 3期 09/ 3期 10/ 3期 11/ 3期 12/ 3期 13/ 3期 14/ 3期 15/ 3期 16/ 3期 17/ 3期予
(兆円)
トヨタ自動車 ホンダ 日産自動車
スズキ マツダ 三菱自動車
富士重工業 いすゞ自動車 営業利益率
(出所: 各社決算資料より J CR 作成)
※ 上場 10 社のうち、トヨタ自動車の連結対象であるダイハツ工業と日野自動車を除く。
17/ 3 期予想は業績予想を発表していない三菱自動車を除く。
(図表 2)大手 3 社の営業利益増減要因
-5.0 -4.0 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
(兆円)
台数・車種構成等 為替変動の影響 コスト削減効果等 諸経費増ほか 計
(出所: 各社決算資料より J CR 作成)
※ 大手 3 社はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車。
【参考】
発行体:日産自動車株式会社
長期発行体格付 :A A - 見通し:安定的
発行体:いすゞ自動車株式会社
長期発行体格付 :A 見通し:安定的
発行体:トヨタ自動車株式会社
国内 C P 格付 :J - 1+
発行体:マツダ株式会社
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